イエスの奇蹟(イエスのきせき)は新約聖書の4福音書に記されている、イエス・キリストが行った奇蹟のことである。
イエスはこれらの奇蹟を行うことで、自然、病、罪、悪霊、死に対して支配する権威をもっていることを公に示し、自らがメシアであることを立証するために行った。
奇跡
最初の奇跡
自然に対する奇跡
- イエスは夜通し働いて何も取れなかったシモンに、「沖に乗り出し網をおろしなさい」と命じる。そこでシモンが言葉どおりに従うと、おびただしい魚がかかり、二そうの舟が魚でいっぱいになる。(一回目の大漁の奇跡) <ルカ 5:4>
- イエスの復活後、漁をしている七人の弟子たちのもとにイエスが現れ、舟の右側に網を打ちなさいと指示をすると153匹の大きな魚が網に入る。(二回目の大漁の奇跡) <ヨハネ 21:1>
病気・悪霊つきを癒やす
- 重い皮膚病(ハンセン病)を患っている人が近寄り、ひれ伏して癒やされることを願う。イエスは深く憐れんで彼に触れ、病気をいやし清くする。 <マルコ 1:40>
- おびただしい民衆がユダヤ全土から集まり、イエスから力が出て病気を癒やしていたので、群集は皆、イエスに触れようとする。 <ルカ 6:17>
- 「ダビデの子よ、私たちを憐れんでください」と言いながらついてきた二人の盲人の目を見えるようにする。 <マタイ 9:27>
- 悪霊に取り付かれて口の利けない人を癒やすとしゃべり始める。 <マタイ 9:32>
- ガリラヤで耳が聞こえず舌の回らない人をイエスは群集の中から連れ出し、指をその両耳に差し入れ、それから唾をつけてその舌に触れ、そしてその人に向かって「エッファタ(開け)」と言うと、その人の耳が開き、舌のもつれが解けてしゃべれるようになる。 <マルコ 7:32>[注釈 1]
- イエスはベトサイダで盲人の手をとって、村の外に連れ出し、彼の目に唾をつけ、両手を彼の上において癒やすと彼はおぼろげに見えるようになる。そこで、イエスが両手をその目に当てると今度ははっきりと見えるようになる。 <マルコ 8:22>
- イエスがエルサレムにのぼる途中、ある村に入ると、重い皮膚病(ハンセン病)を患っている十人の人が出迎え、遠くの方に立ち止まったまま、「イエスさま、先生、どうか、わたしたちを憐れんでください」と声を張り上げる。イエスは彼らを見て、その体を清くする。 <ルカ 17:11>
人の罪を赦す
- ファリサイ派のシモンの家でイエスの足に香油を塗る罪深い女に「あなたの罪は赦された」と告げる。 <ルカ 7:36>
死者を生き返らせる
- イエスはナイン(英語版)という町の門に近づくと、ある未亡人の一人息子が死んで棺が担ぎ出されるのを見る。イエスはこの母親を見て憐れに思い、「もう泣かなくてもよい」と告げ、棺に手を触れ、「若者よ、あなたに言う。起きなさい」と言うと死人が起き上がってものを言い始める。 <ルカ 7:11>
怪我を癒やす
- 弟子のひとりが祭司長のしもべの右の耳を剣で切り落とした。イエスは彼の耳に触れ、彼を癒やす。 <ルカ 22:50>
イエスの死と復活
- 八日の後、再び弟子たちのもとにイエスが現れ、信じなかったトマスに自分の手とわき腹を見せる。 <ヨハネ 20:24>
- 漁をしている七人の弟子たちのもとにイエスが現れ、舟の右側に網を打ちなさいと指示をすると153匹の大きな魚が網に入る。 <ヨハネ 21:1>
脚注
注釈
- ^ イエスがその人を群集の中から連れ出したのは、奇跡を群衆から隠さなければならなかったからだけではない。その人を群集から連れ出すことにより、いやしのときにイエスと耳が聞こえず舌の回らない人と二人だけになり、特別に親しい関係をもつことが必要だった。イエスは自分の指を彼の両耳に差し入れ、自分の唾をつけて彼の舌に触れている。この場合、イエスは霊的エネルギーだけでなく、唾という物質も使って、いやしの奇跡を行っている。
- ^ この奇跡においてもイエスは霊的エネルギーだけでなく、唾と土という物質も使って、いやしの奇跡を行っている。
出典
参考文献
関連項目
外部リンク