本社(イベルドローラ・タワー) | |
種類 | sociedad anónima |
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市場情報 |
BMAD: IBE IBEX 35 |
業種 | 電力会社 |
設立 | 1992年11月1日 |
本社 | スペイン、バスク自治州ビスカヤ県ビルバオ |
主要人物 | ホセ・イグナシオ・サンチェス・ガラン (José Ignacio Sánchez Galán) (会長、CEO) |
製品 | 発電、配電、再生エネルギーおよび天然ガスの生産・販売・分配、電気通信 |
売上高 | €33.437 billion (2020) |
営業利益 | 7,984,000,000 ユーロ (2022年) |
利益 | €3.611 billion (2019) |
総資産 | €123 billion (2019) |
従業員数 | 45,000 (2019) |
子会社 |
エレクトロ・ホールディング アバングリッド (partially owned) スコティッシュ・パワー |
ウェブサイト | iberdrola.com |
イベルドローラ(西: Iberdrola S.A. スペイン語発音: )は、スペインに本拠を置く多国籍電力公益企業。本社はバスク州ビルバオに存在する。マドリード証券取引所上場企業(BMAD: IBE)。
四大陸、数十の国で31,330人を雇用しており、3167万人の顧客にサービスを提供している。子会社にスコットランドのスコティッシュ・パワー、アメリカのアバングリッド、ブラジルのエレクトロなどが存在する。
2001年に国際的拡張と成長の計画に着手して以来、イベルドローラは時価総額においてスペイン最大のエネルギーグループとなり、風力発電のグローバルリーダーであり、時価総額で世界最大規模の公益企業となっている。
イベルドローラの起源は20世紀初期にスペインの工業化に伴って設立された複数の電力会社からなる。1901年にビルバオでエンジニアのフアン・デ・ウルティア率いる企業家によってイドロエレクトリカ・イベリカ(Hidroeléctrica Ibérica)社が設立された。イドロエレクトリカ・イベリカの株主は1907年にもマドリードやバレンシアで電力を供給するためにイドロエレクトリカ・エスパニョーラ社(Hidroeléctrica Española、イドローラ)を設立している。また、同じくスペインのサルトス・デル・ドゥエーロ社(Saltos del Duero)は1935年に国内で最初の水力発電所のリコバージョ水力発電所を設立した。
スペインは20世紀の初期に経済成長期を経験したものの、1936年に始まったスペイン内戦による開発停止や施設が破壊などによって深刻な影響を受け、影響は長期間にわたった。1940年代からは外交的な孤立に苦しみ、材料価格の高騰や技術の取得に非常な困難を経験した。この状況下、1949年にイドロエレクトリカ・イベリカ社とサルトス・デル・ドゥエーロ社は統合し、イベルドゥエーロ社(Iberduero)が誕生した。
現在のイベルドローラは1992年11月1日にイドローラ社とイベルドゥエーロ社の合併によって設立された。
その後もイベルドローラは多くの経営統合や買収を試みている。
1997年にはレプソルとの統合を試みたが、企業間で合意が形成できずに失敗した。1999年にも再度レプソルとの統合を試みたものの、レプソルの主要株主のLa Caixaに拒否された。2000年にはイベルドローラとスペインのエネルギー大手エンデサの統合が試みられたが、当時のスペイン首相ホセ・マリア・アスナールに課された条件を満たせなかったために失敗した。2003年にはガス・ナトゥラルに敵対的買収を仕掛けたものの、これはスペインの国家エネルギー委員会によって拒絶された。
現会長のホセ・イグナシオ・サンチェス・ガランが2001年に就任して以降、イベルドローラは国際化と再生可能エネルギーの利用を進めている。国際化の一環として、2006年11月にスコティッシュ・パワーを買収し、2007年4月に系列化した。これによってイベルドローラは欧州で3番目に大きな公益事業者となった。2008年にはエネルギー・イーストの買収を行った。20世紀末からは、イベルドローラはメキシコやブラジルなどのラテンアメリカにも進出を開始しており、2011年にはブラジルのエレクトロを買収している。2012年にはビルバオに高さ165mの本社ビル(イベルドローラ・タワー)が完成した。
イベルドローラは発電とガス・電力の販売などを行っている。2012年末時点で、合計46,039MWの設備容量の資産を保有している。ヨーロッパ、北アメリカ、ラテンアメリカなどの40カ国で水力発電所、コンバインドサイクルガス、原子力、熱併給発電などの発電資産を持つ。
スペインでの発電量は2012年で57,127GWhであり、このうち9,039GWhが水力発電によるものである。また、原子力による発電や風力の利用も多く、イベルドローラのスペインでの電力生産の83%がCO2を発生しない状況となっている。
イベルドローラは3000万人以上の人にサービスを提供している。スペインでは1166万の補給点に給電しており、給電される電力量は94,552GWhとなっている。電源品質のためのTIEPIインジケータは0.58時間の値になっている。
英国ではスコティッシュ・パワーグループの関連企業で合計560万人を超える顧客に給電しており、給電される電力量は35,521GWhとなっている。
アバングリッドはアメリカ合衆国の186万の補給点に給電しており、給電される電力量は31,573 GWhとなっている。
ブラジルではNeoenergia (Coelba, Cosern and Celpe)とエレクトロで、2012年時点でイベルドローラは合計49,006GWhを供給しており、これは前年比で17%の増加となっている。顧客の数は1200万人で+3%の成長であった。
スコティッシュ・パワーは1955年に設立された南スコットランド電力局などのスコットランドの国営電力の民営化に伴う改組によって成立した。英国で第4位のエネルギー生産者で、560万人の顧客に配電し、8000人の雇用を抱えている。水力、火力、コンバインドガス、コージェネレーションなど多岐にわたる発電設備を保有し、送電網は地下化された電線が65000km、地上電線が47000kmにのぼる。また、リバプールやグラスゴーのスマートグリッド計画に参加しており、グラスゴーコンソーシアムの一員として電動自動車計画で開発された充電地点を提供している。設備容量は7,271MWで、2012年には18,703GWhを発電している。
イベルドローラUSAはアメリカ東海岸に1840年代に始まった電力企業群を祖としており、1998年、ニューヨーク・エレクトリック・アンド・ガスによる周辺地域のエネルギー企業の買収に伴って成立したエネルギー・イーストを前身とする。2008年9月にグループの一員となった。電気とガスをメイン州とニューヨーク州の242万人の顧客に提供している。オフィスはそれぞれの州の主要物流センターに位置している。ニューヨーク州では、経営はニューヨーク・エレクトリック・アンド・ガス(NYSEG)とロチェスター・ガス・アンド・エレクトリック(RG&E)の子会社2社が行っており、両方の本社はロチェスターに所在する。メイン州では、メイン中央電力(CMP)が事業を行っておりオーガスタに本社が存在する。NYSEGはニューヨーク州北部の40%以上にわたって878,000人の電力顧客と261,000人のガス顧客を持ち、RG&Eはロチェスター周辺の9郡で367,000人の電力顧客と303,000人のガス顧客を持っている。CMPはメイン州最大の電力事業者で、60万人の顧客を持つ。
イベルドローラUSAはメインやニューヨークにおいてインフラ計画を促進した。メインでは、CMPが2010年9月に14億ドルをかけて州の送電網を改良し、カナダとの電力接続網を向上させるメイン電力信頼計画の建設を開始した。また、メイン州の625,000人の顧客向けにスマートメーター導入計画の展開を行っていた。ニューヨークでは、イサカやコーニングでインフラ計画が存在した。
2015年2月、イベルドローラはアメリカのUILホールディングスの買収を発表、同年中にUILホールディングスとイベルドローラUSAは統合され、アバングリッド(Avangrid,Inc.)が設立された。同社はIPOが認められ、ニューヨーク証券取引所上場企業となった。
イベルドローラ・エンジニアリング・アンド・コンストラクション(Iberdrola Ingeniería and Construcción)は土木工事、供給、建設とコミッショニング、ターンキープロジェクト、運営支援などのサービスを行っている。欧州、アジア、アフリカ、南北アメリカの27カ国での子会社と支店を持っており、また30カ国以上で計画を保有する。研究開発の分野では、海洋エネルギーでの世界的研究であるCenit Ocean Líder projectを行っている。また、直接蒸気発生型太陽光発電の計画があり、熱ソーラー技術分野の促進も行っている。
イベルドローラ不動産(Iberdrola Inmobiliaria)は住宅用不動産を中心に、別荘、オフィス、工場敷地やショッピングセンターなど幅広い不動産商品を取り扱っている。
イベルドローラはニュージェネレーションの株式の50%を保有しており、英国のセラフィールドに原子力発電所の建設を計画していたが、2013年12月に株式を東芝に売却した。
ドゥエロ川流域に旧イベルドゥエロの水力発電所、タホ川とセグラ川の流域に旧ハイドローラの水力発電所を保有している
バレンシア州Cortes de Pallásでラ・ムエラ第2発電所848MWの建設が進んでおり、2012年に操業開始を見込んでおり、またシル川では175MWのサン・エステバン第2発電所の計画が存在する。サン・ペドロ第2発電所は環境影響評価報告の段階を進んでおり、サンタ・クリスティーナ発電所が広報段階にある。
イベルドローラは以下の5箇所の原子力発電所を運営している。いくつかの発電所については他の企業と共同で運営している。
従来型の火力発電所を3箇所保有する。主に石炭火力であるが、燃料油や軽油も使用できる
2011年7月までは子会社として、バレンシアに本社を置くイベルドローラ・レノバブレスが上場されていたが、現在は本社に統合されている。2012年の終わりの時点で、イベルドローラはおおよそ14,034MWの設備容量を運営しており、年31,784GWh程の電力を生産している。設備容量のうち43%はスペイン国外に存在する。
主な施設
トレド、ポートランド、グラスゴーのCOREはイベルドローラのグローバル経営において重要な施設であり、業界でのパイオニア的存在である。3つのCOREがイベルドローラのすべての再生可能エネルギー施設と関連する変電施設を一年中コントロールしている。イベルドローラの最初のCOREは2003年にトレドに設置され、のこりの2箇所も操業を見込んでいる。
当初の発電容量は322MWであり、現在は539MWに拡大されている。施設はグラスゴー南部に位置し、グラスゴー市街と同程度の広さである55平方キロメートルの敷地を持つ。英国はつの再生可能エネルギー教育センターであり、さまざまな再生可能エネルギー源についての情報を調べることができる。生息地管理の優秀さや再生可能エネルギー計画への地域社会の関与の促進など、その持続可能性への取り組みから女王賞を獲得している。
エル・アンデバロ風力発電所は2010年に運用が開始された。スペインや欧州で最大級の風力発電施設である。292MWの発電容量があり、ウエルバ南部に位置している。この発電所の電力を送電するために、イベルドローラはスペインとポルトガルの間で120kmの送電線を建設し、この接続線は両国間の電力相互接続において重要な戦略的位置を占めている。
ペニャスカル風力発電所は404MWの発電容量を持つ予定の世界最大級の風力発電施設。テキサス州ケネディ郡 (テキサス州)に存在している。レーダーを備えており、渡り鳥の大きな群れを察知しており、衝突の危険性がある場合羽を停止する機能を備えている。