スーパースポーツ300世界選手権(スーパースポーツ300せかいせんしゅけん、Supersport 300 World Championship、略称:WSSP300)は、モーターサイクルによるモータースポーツ。国際モーターサイクリズム連盟(FIM)が主催する、4ストロークの1・2気筒エンジン搭載の市販車を改造したオートバイで競うロードレースの世界選手権大会。ヨーロッパラウンドのみの開催で、スーパーバイク世界選手権に併催されている。
概要
2016年までスーパーバイクの将来のスターライダーを育成する目的で行われていたヨーロピアン・ジュニア・カップ(英語版)(EJC)に代わるカテゴリーとして、「全ライダーが同じ条件の下勝利を目指し、スーパーバイクへの階段を登ること」を目的に、2017年に誕生した。「世界選手権」という名称ではあるが、前身のEJCと同様にヨーロッパのみでの開催で、スーパーバイク世界選手権やスーパースポーツ世界選手権と併催される。
2023年の参戦メーカーはカワサキとヤマハ、KTM、KOVE MOTOである。2019年まではホンダも参戦していた。
歴史
- 2017年
- 4月2日、シリーズ開幕戦がモーターランド・アラゴンで開催され、37人のライダーが参戦、スコット・デラウエ(英語版)がシリーズ最初の優勝ライダーとなった。
- 9月17日には、アウトードロモ・インテルナシオナル・ド・アルガルヴェで開催された第7戦ポルトガルでFIMが主催する世界選手権で、アナ・カラスコが女性初優勝を果たした。
- レギュラーライダー35人が参戦した選手権は、全戦ワイルドカード参戦のマルク・ガルシア・フェランディス(英語版)がアルフォンソ・コッポーラ(イタリア語版)を1ポイント差で下し、初代世界チャンピオンとなった。
- 2018年
- アナ・カラスコが唯一1位を2回獲得(表彰台もこの2回のみ)、8戦中4戦で表彰台に上った(2位3回、3位1回)ミゲル・ペレス・アルミニャーナ(イタリア語版)を1ポイント差で下し、バイクレース史上初の女性の世界チャンピオンとなった。
- 2019年
- レギュラーライダーが前年の36人から50人に増加したことを受け、FIMは練習走行とスーパーポール(予選)を2つのグループに分割した。これに伴い、スーパーポールの2グループを総合してタイムの速い順に上位30人が日曜日に行われる決勝にストレートインし、残るライダーは、この年から設けられた土曜日午後に行われる「ラストチャンスレース」に参加、6位までに入れば決勝に進出、7位以下は予選落ちというレギュレーションに変更された。
- 選手権は、マヌエル・ゴンサレス・シモン(英語版)が9戦中6戦で表彰台に上がり(1位3回、2位3回)、世界チャンピオンとなった。
- また、この年から唯一の日本人ライダーとして岡谷雄太が参戦している。日本人がこのカテゴリーに参戦するのはこれが初となる。
- 2020年
- 新型コロナウイルスの流行により、カレンダーは当初予定されていたものから大幅に変更、ラウンドは10から7に減少した。また土曜日に決勝を1つ加えたことで全ラウンドが2レース制となったため、イベントのタイムテーブルも改訂された。
- 9月20日、カタロニア・サーキットで開催された第5戦スペインで、岡谷雄太が日本人初の優勝を果たした。
- レギュラーライダーが55人と前年から更に増加した選手権は、オランダ人ライダーのイェフライ・バウス(英語版)が14レース中8レースで表彰台に上がり(1位4回、2位3回、3位1回)、初めてスペイン人以外のライダーが世界チャンピオンとなった。
- 2021年
- この年から、練習走行とスーパーポールの2グループ制を取り止め、3年振りに1つに統合、ラストチャンスレースは廃止となる。決勝は2レース制を維持する。
- 42人のレギュラーライダーによって争われた選手権は、アドリアン・ウエルタス・デル・オルモ(英語版)が16レース中8レースで表彰台に上がり(1位6回、2位1回、3位1回)、世界チャンピオンとなった。
- マーベリック・ビニャーレスとイサック・ビニャーレスのいとこであるデアン・ベルタ・ビニャーレス(英語版)が、ヘレス・サーキットで行われた第7戦スペインの決勝レース1で発生した多重クラッシュにより死亡した。
- 2022年
- アルバロ・ディアス・セブリアン(英語版)が16レース中11レースで表彰台に上がり(1位2回、2位7回、3位2回)、世界チャンピオンとなった。
- この年ランキング2位となったフィクトル・ステーマン(英語版)が、アウトードロモ・インテルナシオナル・ド・アルガルヴェで行われた最終戦アルガルヴェの決勝レース1で発生した多重クラッシュにより死亡した 。
レギュレーション
「スーパースポーツ300」という名称であるが、300ccのマシンしか走れないというわけではなく、FIMがバイクのモデルごとに最低重量や最大回転数(rpm)を規定している。また、参戦するライダーは15歳以上の者でなければならない。
2018年からFIMが課した規定は以下の通り。
歴代チャンピオン
出典
- ^ “What is WorldSSP300?”. yamaha-racing.com (Yamaha Racing). https://www.yamaha-racing.com/worldssp300/about/ 2021年3月6日閲覧。
- ^ Lieback, Ron (2017年2月8日). “2017 World Superbike Calendar”. ultimatemotorcycling.com (Ultimate Motorcycling). https://ultimatemotorcycling.com/2017/02/08/2017-world-superbike-calendar-13-round-schedule/ 2021年3月6日閲覧。
- ^ Miles, Matthew (2018年10月1日). “Ana Carrasco Crowned 2018 FIM Supersport 300 World Champion In France”. cycleworld.com (Cycle World). https://www.cycleworld.com/ana-carrasco-crowned-2018-fim-supersport-300-world-champion-in-france/ 2021年3月6日閲覧。
- ^ “Supersport 300: 50-rider provisional entry list for 2019 season”. bikeandrace.com (BikeAndRace). (2019年1月11日). https://www.bikeandrace.com/world-superbike/supersport-300-50-rider-provisional-entry-list-2019-season/ 2021年3月6日閲覧。
- ^ “WorldSSP300 to see new format in 2019”. mcnews.com.au (MCNews.com.au). (2018年10月30日). https://www.mcnews.com.au/worldssp300-to-see-new-format-in-2019/ 2021年3月6日閲覧。
- ^ “2021 EU STANDARD TIME SCHEDULE”. resources.worldsbk.com (Dorna WSBK). (2020年12月21日). https://resources.worldsbk.com/newsdesk/2021/schedule/2021_WorldSBK_Schedule.pdf 2021年3月6日閲覧。
- ^ “Dean Berta Viñales passes away”. WorldSBK.com (Dorna Sports). (2021年9月25日). https://www.worldsbk.com/en/news/2021/Dean%20Berta%20Viales%20passes%20away 2021年9月25日閲覧。
- ^ “Victor Steeman passes away”. worldsbk.com. Dorna WorldSBK (2022年10月11日). 2022年10月11日閲覧。
- ^ “Supersport 300 Assen: Rivisto il regolamento del Mondiale”. corsedimoto.com (Corsedimoto). (2018年4月19日). https://www.corsedimoto.com/mondiale-sbk/altre-categorie/supersport-300-assen-rivisto-il-regolamento-del-mondiale/ 2021年3月6日閲覧。
関連項目
外部リンク