レッドカード(red card)とは、スポーツの試合において特に悪質な反則を行ったプレイヤーに対して審判員が退場処分を言い渡す時に提示する赤いカードである。
サッカーの場合、特に悪質な反則を行ったプレイヤーに対して審判が退場処分を言い渡す時にレッドカードを提示する。
レッドカードを提示する規定は国際サッカー評議会 (IFAB) が規定したサッカーのルールとなる「サッカー競技規則」 (Law of the Game) の「第12条 ファウルと不正行為」(Fouls and Misconduct) の「3.懲戒措置」において「レッドカードは(退場となる反則を犯した者が)退場が命じられたことを知らせるために用いられる」とされている。
同じ項目では、競技者、交代要員または交代して退いた競技者の「退場となる反則」として以下の行為を挙げており、これらの反則を犯した場合、退場を命じると規定している。
市販されているレッドカードは、縦10.5 cm 横7.5cmのプラスチック製のものが主流。表面の赤色は、視認性を考えて純色ではなく蛍光色となっている。裏面には、カードが提示された選手の背番号、提示理由、時刻を記入する欄入りのシールが貼られている。
15人制ラグビーユニオンでは、危険性の度合いやその審査過程において、試合中に以下のようにイエローカード、オフ・フィールド・レビュー、20分レッドカード、レッドカードがレフリーにより示される。
イエローカードに相当する反則(妨害、不当なプレー、反則を繰り返すこと、危険なプレー、不行跡など)を犯した場合は、試合中10分間の一時退出(シンビン、Sin Bin)となる。その間、チームは1人欠けた人数で試合に臨むことになる。
7人制ラグビー(試合時間は前後半7分ずつ)のイエローカードは、2分間の退場。
シンビン制度は、日本では1996年(平成8年)9月14日から始まった。2002年(平成14年)には、6月1日から南半球で、8月1日から北半球でイエローカード・レッドカードが導入された。
1つの試合で同一選手が2回目のシンビン処分(イエローカード)を受けると、原則として試合終了までの退場処分(レッドカード)となる。
ラグビーユニオン競技規則第9条の30に記載があり、「レフリーは、退場となったプレーヤーに対しレッドカードを示し、そのプレーヤーは試合の残りの部分には参加できない。退場となったプレーヤーについて交替や入替えはできない」とされており、サッカーと同様の扱いであることが示されている。その反則内容によっては、退場選手への追加処分(試合後の審議で決定される)が行われる。
具体的に退場となるケースについては「同じプレーヤーがその後、別のイエローカードに相当する反則を犯した場合」の他、複数の事例が挙げられている。
実際に「カード」を用いたイエローカード・レッドカード判定は、2002年(平成14年)6月1日から南半球で、8月1日から北半球で導入された。
オフ・フィールド・レビューは、危険な反則プレイをした選手に対し、レフリーがイエローカードを出し顔の前で両腕をクロスするアクションで示され、「少なくともイエローカード(Minimum Yellow)」となるもの。これにより、反則選手を10分間の一時退出をさせ(シンビン、Sin Bin)、8分間のうちにそれがレッドカード相当なのかを別室の審判員が裏で詳しく判定する。その結果、レッドカードへと格上げ(Upgraded)されることがある。危険度が高くないと判定されれば、通常のシンビン(イエローカード)となり、10分めには試合に復帰できる。sinは「罪」、binは「置き場」という意味の英語である。
このルールは、ビデオ判定「TMO」が行われる試合でのみ運用される。
何度かの試験的運営の後、ワールドカップ2023から本格導入され、この時は「ファウルプレーレビューオフィシャル」「TMOバンカー」「バンカーシステム」などと称していた。「オフィシャル」は審判員(団)のこと。
日本のリーグワンでは2023-24シーズンから、TMOを行う試合(DIVISION1とDIVISION2)で導入され、名称が「オフ・フィールド・レビュー」と変更された。その担当審判員を「ファール・プレー・レビュー・オフィサー(Foul Play Review Officer)」と言う。
オフ・フィールド・レビューによって、レッドカードとなった場合に適用される。退場後8分以内にレッドカードの判定を受けた当該選手は退場となるが、20分後に別の選手を試合に投入することを可能とする。このルールは、1人減ることで試合の面白さが損なわれることを考慮したものである。
危険度の高いラフプレーと判断された場合には、通常のレッドカード扱いとなり、選手を新たに投入できず、1人欠けたままとなる。
退場選手への追加処分(試合後の審議で決定される)は、通常のレッドカードと同様に行う。2020年からスーパーラグビーで導入され、日本のリーグワンでは2023-24シーズンから導入。
レッドカードはイエローカードとともに、サッカー以外でもラグビーやバレーボールなど、幅広いスポーツ競技で使用される。
ハンドボールでは「失格」と呼ばれ、競技中の罰則では最も重い処分となる。相手に危害を及ぼす行為や著しくスポーツマンシップに反する行為、3回目の退場(2分間の退場)[注釈 1] に対して与えられる。
失格となった選手は、ベンチからも去らねばならないが、チームは2分後に別の選手を復帰させることができる。
アイスホッケーにおいては、ラフプレーが起きた場合、大きく6段階のペナルティーが存在し、レッドカードに相当する、残存時間すべてが退場となる物としては「ゲームミスコンダクト・ペナルティー」と「マッチ・ペナルティー」があり、退場となった選手はベンチの外にある「ペナルティーボックス」に待機しなければならない。
主審からレッドカードが出たら相手チームに1点加え、サーブ権も移る。その他に退場等の、「イエローカードとレッドカードを一緒に出す」「イエローカードとレッドカードを別々に出す」ペナルティ判断もある。
陸上競技でも主にトラック競技で使われており、2011年の世界陸上大邱大会では、女子400m走予選で北京五輪金メダルの選手がフライングで失格となった際に審判がレッドカードを手にし当該選手に提示したシーンが国際映像で配信されている。
競歩では同一競技者に対して3人以上の審判からレッドカードが出された場合に競技者は失格となる。
パンクラスでは、レッドカードを提示された場合は、減点3となり失格にはならない。
転じて、禁止行為、退場処分、出入禁止処分、営業停止処分などについて「レッドカード」の比喩も用いられる。
また、埼玉県警察は軽微な違反をした自転車運転者に対し、指導・警告として「自転車レッドカード」を交付している。