シニアカー
シニアカー は、高齢者 向けに製造された三輪または四輪の一人乗り電動車両(バッテリーカー)。道路交通法 上は車両 ではなく歩行者 扱いとなるため 、車道 ではなく歩道 を通行する。
基本的に、電動車椅子 の発展型である。なお、シルバーカー は手押し車 である。
概要
高齢者の間でゲートボール が流行していた頃に、電動車椅子を製造していたスズキ株式会社 がコートまでの移動手段として発売したものが始まり(スズキでは「セニアカー 」の商標 を使用)。運転免許証 は不要で、自動車 の運転経験がなくても楽に扱えることから、歩行に難儀している高齢者に歓迎されて広まった。福祉用具 とされているため、購入に当たって消費税 は課されない。
日本工業規格 ではハンドル形電動車いす 、道路交通法 では原動機を用いる身体障害者用の車いす との呼称を使っている。製造メーカーあるいは販売店によっては電動カート という呼び方も存在する。ちなみに欧米でも電動車いすの製品は多く販売されており、ハンドル型は power scooter というキーワードで検索できる。
基準
「原動機を用いる身体障害者用の車いす」の法的要件は、道路交通法施行規則第1条の4によって
車体の大きさは、次に掲げる長さ、幅及び高さを超えないこと。
全長1,200mm
全幅700mm
全高1,200mm
車体の構造は、次に掲げるものであること。
原動機 として、電動機 を用いること。
最高速が6km/hを超えないこと。
歩行者に危害を及ぼすおそれがある鋭利な突出部がないこと。
自動車又は原動機付自転車と外観を通じて明確に識別することができること。
と定められており、これを満たす製品は国家公安委員会 の型式認定を受けることもできる 。
また、JIS では当初「電動車いす」内での扱いだったが、多発する事故に対応して経済産業省 は2008年12月に個別の基準を制定し、このとき「ハンドル形電動車いす」という呼称が採用された 。外観の特徴として、車輪の大きな車椅子 ではなく、原動機付き自転車 に似たハンドルとミラーを備えているので、道路交通法上の車両の一種と誤解されやすい。
注意点
法規に疎い、あるいは前後不覚の運転者が車道を通行し、自動車に追突される事故が発生している。尾灯のない機種もあるため、特に夜間の使用には注意を要する。
道路交通法上は「歩行者」に分類されるため、シニアカーと歩行者との衝突事故があっても交通事故ではないとされ、加害例が把握しにくい。また、シニアカーに衝突され負傷し、後遺症が残ったとして、損害賠償 訴訟 に発展している例もある 。
シニアカーとして販売されたものであっても、その後の改造によって基準を逸脱したものは公道を走行できない、または運転免許等の別の許可が必要になる(シニアカーを含み、取得後に該当の基準を逸脱した場合は不適合になる)。
対人・対物損害賠償保険への加入義務がないため、事故が起これば、高額の損害賠償が発生する場合がある。このため、事故に備えて任意保険 を販売している保険会社 も見られるが、加入率や支払件数が明らかにされていない 。また、販売店によっては購入時に1年間の保険加入を付けている場合もある。
主な製品
スズキ・ET4D
スズキ・ET4E
ホンダ・モンパルML200 (2019年販売終了)
アイセ・リアリティー・アクシア(2021年販売終了)
セリオ・遊歩フレンド
セリオ・遊歩パートナー
セリオ・遊歩スキップ
セリオ・遊歩スマイル
アクセス・パセリ
アクセス・パセリⅡ
電動カートパルパル
アテックス・マイピア
脚注・参照
^ “道路交通法第2条第3項第1号 ”. e-Gov. 2020年1月10日 閲覧。
^ JIS T 9208 (日本産業標準調査会 、経済産業省 )
^ “道路交通法施行規則(原動機を用いる身体障害者用の車いすの基準) ”. e-Gov. 2020年1月10日 閲覧。
^ 電動車いす安全普及協会
^ “ハンドル形電動車椅子の JIS 改正 -ハンドル形電動車椅子の安全性の向上を目指して- 平成28年5月20日 ” (PDF). 経済産業省. 2018年10月17日 閲覧。
^ “道路交通法施行規則(原動機を用いる身体障害者用の車椅子の型式認定) ”. e-Gov. 2020年1月10日 閲覧。
^ . 毎日新聞. (2009年11月4日). http://mainichi.jp/universalon/clipping/archive/news/2009/11/04/20091104ddm013100154000c.html
^ “ハンドル形電動車いすの安全性・利便性を高めるためJISの改正を行います~ 手押し走行装置の規定を新たに追加、また鉄道利用にも配慮 ~ ” (PDF). 経済産業省. 2018年10月17日 閲覧。
^ a b “シニアカー事故:ご用心 歩行者に追突、加害者に 自賠責の制度なし、高額賠償も懸念 ”. 毎日新聞 (2010年5月4日). 2013年5月1日時点のオリジナル よりアーカイブ。2010年5月5日 閲覧。
^ 電動シニアカー事業|株式会社アイセ・リアリティー
^ 株式会社セリオ
^ 株式会社アクセス
^ 株式会社パルパル
関連項目
外部リンク
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