センセーショナル・アレックス・ハーヴェイ・バンド[注釈 1](The Sensational Alex Harvey Band、SAHB) は、1972年に結成されたイギリスのロック・バンドである。1970年代にイギリスの庶民から支持を得た。
経歴
1950年代のイギリスにおけるスキッフル・ブームの最中にデビューしたアレックス・ハーヴェイは、ミュージカル『ヘアー』に出演したり、自らのソウル・バンドを組織してハンブルクへ遠征に出るなどして(同地ではゲイリー・グリッターとしのぎを削った)キャリアを積み重ねていた。
1970年代初頭、同郷出身のバンドであるティア・ガス(Tear Gus)の面々と知り合い、意気投合。センセーショナル・アレックス・ハーヴェイ・バンド結成へ動く。
1972年、ヴァーティゴ・レコードよりアルバム『フレイムド』をリリースしデビューを飾る。基本となる音楽性はハードロックであったが、ハーヴェイの多彩な音楽遍歴を反映するかのように、ブルース、ブギ、ミュージカル曲など様々な要素を内包するバンドに成長していく。グレミンソンはピエロのメイクをして演奏し、ライブでは高い演奏技術を基本にしながら、滑稽なパフォーマンスやシアトリカルな演出をふんだんに織り込み、大きな庶民的人気を獲得。
1978年、ヒューが脱退。アイアーが加入するが、ハーヴェイの体調不良が影響し、同年バンドは分解する。
解散後のメンバーの経歴
ハーヴェイはアレックス・ハーヴェイ・ザ・ニュー・バンド(Alex Harvey-The New Band)、エレクトリック・カウボーイズ(the Electric Cowboys)などを率いるが、1982年、心臓発作で急死。
グレミンソンは1981年まで同郷のバンド、ナザレスに参加。グレンとテッドはマイケル・シェンカー・グループ(MSG)に参加(テッドはその前にロリー・ギャラガー、G-Forceの一員としてゲイリー・ムーア、グレッグ・レイクと活動していた)し、2017年からはマイケル・シェンカーの新プロジェクト「マイケル・シェンカー・フェスト」にも参加。アイアーはハーヴェイとの活動のほか、ゲイリー・ムーア、マイケル・シェンカー、グレッグ・レイク、ワム!などとも活動をともにした。
1990年代からは別のボーカリストを加え、SAHBが何度か再結成されるようになり(キーボードはヒュー)、2000年前後からは継続的なライブ活動を行うようになる。ステージではSAHBの往年の曲のほか、テッドとグレンの経歴を反映してMSGの曲も演奏されている。2008年にグレミンソンが脱退し引退を表明した。
エピソード
- 横縞のシャツは、ハーヴェイのトレード・マーク。
- ストーン・ザ・クロウズのギタリストだったレス・ハーヴェイはアレックスの実弟。1972年にステージ上で感電死。
- ROLLYがSAHBのファンであることを公言している。すかんちのシアトリカルな要素はSAHBを参考に作り出したことを明かしている。
メンバー
結成メンバー
テッドとヒューはいとこ同士。
途中参加メンバー
- トミー・アイアー(Tommy Eyre) - キーボード。1949年7月5日、シェフィールド生まれ。2001年5月23日死去。
ディスコグラフィ
スタジオ・アルバム
- 『フレイムド』 - Framed (1972年)
- 『センセイショナル!!』 - Next... (1973年)
- 『見果てぬ夢 怪傑アレックス・ハーヴェイ・バンド』 - The Impossible Dream (1974年)
- 『明日はセンセイショナル!』 - Tomorrow Belongs to Me (1975年)
- 『ペントハウスの大騒動』 - The Penthouse Tapes (1976年)
- 『アレックス・ハーヴェイの物語』 - SAHB Stories (1976年)
- Rock Drill (1978年)
SAHB (without Alex)
ライブ・アルバム
- 『ライヴ!!オデオン座のセンセイション!』 - Live (1975年)
- Alex Harvey Presents: The Loch Ness Monster (1977年)
- 『ライヴ・イン・コンサート』 - BBC Radio 1 Live in Concert (1991年)
- Live on the Test (1995年)
- The Gospel According to Alex Harvey (1998年)
- 『ブリティッシュ・ツアー '76』 - British Tour '76 (2004年)
- 『USツアー'74』 - US Tour 74 (2006年)
- Live at the BBC (Spectrum/Universal 2009年)
再結成アルバム
- Live in Glasgow 1993 (1994年) (with Stevie Doherty on vocals)
- Zalvation (2006年) ※with "Mad" Max Maxwell (ボーカル)。旧題『Zalvation: Live in the 21st Century』
コンピレーション・アルバムなど
- Vambo Rools: 'Big Hits and Close Shaves' (1977年、Vertigo)
- The Sensational Alex Harvey Band Collection (1986年、Castle Communications)
- The Best of the Sensational Alex Harvey (1987年) ※全英148位
- All Sensations (1992年、Vertigo)
- ...Delilah (1998年、Spectrum)
- Faith Healer - An Introduction to (2001年、Mercury Records)
- Considering the Situation (2003年、Universal)
- 『ホット・シティ』 - Hot City (2009年) ※『見果てぬ夢 怪傑アレックス・ハーヴェイ・バンド』の初期バージョン
- Last of the Teenage Idols (2016年) ※14枚組CD、217曲入のボックスセット。未リリース21曲、CD初収録59曲、豊富でレアな録音とハードカバーの写真集が含まれている。
- Shout: The Essential Alex Harvey (2018年、Spectrum Audio)
脚注
注釈
- ^ 「センセイショナル・アレックス・ハーヴェイ・バンド」の表記もある。
出典
外部リンク