開発元 | |
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プログラミング 言語 | ActionScript |
対応OS |
Android iOS Microsoft Windows macOS Linux |
サポート状況 | 継続中 |
公式サイト | google.com/maps/ |
Google ストリートビュー(グーグル ストリートビュー、英語: Google Street View)は、Googleが2007年5月25日から開始した、世界中の道路沿いの風景をパノラマ写真で提供するインターネットサービスと、屋内版の撮影サービスである旧Google インドアビュー(日本国外では、Google Business View)を含めた総合的なブランド名称である。
道路版で提供されている画像は、専用に開発された、グーグルカーと呼ばれる自動車で各地を走行しながら、その屋根に搭載した全天球カメラで地上約2.45メートルから撮影している。自動車が入れない場所では撮影機材を三輪自転車(ストリートビュートライク)やスノーモービルに乗せて撮影し、それらでも走れない場所では人が撮影機材(トレッカー)を背負って歩きながら撮影している。屋内の撮影では、ストリートビュートロリーと呼ばれる手押し車タイプの撮影車を使うこともある。また水上では、船に撮影機材を搭載した船上トレッカーを使って撮影される。
撮影エリアは世界中の都市や郊外をカバーし、南極の一部や海中のごく一部の画像も見ることができる。日本では都市や住宅地に加えて、離島や富士山などの登山道もカバーしている。
屋内版は、一眼レフカメラに魚眼レンズを付け、専用の台座を使い、三脚に乗せて撮影をする。簡易型のRICOH THETAのような360°カメラでも撮影は可能である。Googleが直接撮影するパターンと、施設側が撮影費用を負担したうえでGoogleの認定を受けた認定フォトグラファーが撮影をするパターンがある。2018年4月現在、日本国内には1,320の認定フォトグラファーが存在する。
ストリートビュー機能は、Google マップおよび Google Earth 上で利用できる。Google マップでは、利用可能な地域に地図を合わせることで、縮尺の調節バーの上の人型のアイコン(ペグマン、英語: Pegman)が黄色に点灯する。この状態でペグマンを地図上にドラッグすると、ストリートビューの提供されている道路が青色で表示されるので、そこにアイコンを配置(ドロップ)することで、風景を閲覧できるビュアー画面に切り替わる。ビュアーでは、路上風景のパノラマ画像が表示され、地図はその右下に表示される。パノラマ画像内の道路の上に黄色いラインと矢印が表示されるので、矢印をクリックすることで直接位置を移動できるほか、画像の拡大や縮小、全画面表示、マウスによる視点の変更が可能。Google Earth の場合は、まず Street View レイヤーを有効にするとマップ上に黄色いカメラのアイコンが表示され、そのアイコンをダブルクリックするとビュアーが起動して風景が表示される。さらに、過去のストリートビューを見られる機能もある。
車載カメラは3次元方向のほぼ全周(水平方向360度、上下方向290度)を撮影しているため、パノラマ画像上でマウスをクリックするか、キーボードを操作してポインタを動かすことで、上下(仰角・伏角)・前後・左右へと視野を移動させたり、ズームアップやズームアウトさせたりすることもできる。パノラマ画像内の道路に沿って表示されている線はカメラを積んだ車両が撮影しながら動いた経路であり、利用者はこれに沿ってパノラマ画像内の先や手前へ視点を動かすこともできる。ただし撮影された当時の状況を確認することはできるものの、航空写真ほど頻繁には内容が更新されないので、必ずしも最新の建物や道の状態などを確認できるわけではない。
特定地点の特定アングルのパノラマ画像を他人と共有したい場合、その画像を印刷したり、URLをメールに貼りつけて送ったり、自ら管理するウェブサイトにHTMLを貼りつけて表示させたりすることができる。
サービス開始時点ではアメリカ合衆国の5都市の路上風景だけが対象であったが、その後アメリカ全土をはじめ、世界各国へとサービス範囲を拡大している。一方で、車載カメラからは路上にいる人々の顔や、塀や窓の中の様子までが見えてしまうため、各国でプライバシーをめぐる論争を起こしている。2023年には中古車販売店のビッグモーターが街路樹に無許可で除草剤を散布していたことが本サービスで明らかになった。
太字は高画質で閲覧可能であることを表す。斜体の太字は一部高画質で閲覧可能であることを表す。
Google ストリートビューは2007年5月25日にアメリカでサービスが開始され、以後各地の大都市・主要都市や国立公園でサービスを行い、アメリカでは全ての州が対象エリアである。また当該主要都市の郊外都市もサービス範囲に入っている。2008年7月2日にはアメリカ以外では初めてフランスとイタリアでサービスが開始され、ツール・ド・フランスの経路上とイタリア北西部のストリートビューが提供された。さらに将来はヨーロッパ、アジア、中南米、アフリカ諸国などの主要都市にも拡大される予定になっている。中でも、ヨーロッパ諸国では広範囲でサービス提供の予定がある。2008年4月16日には、ストリートビューはGoogle Earth 4.3に完全に対応した。
大陸 | Googleのサイトに掲載されている国および地域 | メディアでの報道および非公式に発表された国 |
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アフリカ | ||
アジア | ||
ヨーロッパ | ||
南アメリカ |
ディズニーランド・パリはテーマパークとして史上初めて、Google ストリートビューのサービスを提供した。以降、「パートナープログラム」として、広報、宣伝、広告を目的とした、施設や私有地の撮影が行われている。
2011年2月1日には、ニューヨーク近代美術館など世界16か所の美術館およびヴェルサイユ宮殿と提携してGoogle アートプロジェクトを開始している。18か月にわたって各美術館と協力してストリートビューの機材で展示室を撮影し、閲覧者が展示室の作品部分を拡大して高解像度で鑑賞できるようにしている。
2008年5月13日からプライバシー対策として、画像に写っている歩行者の顔や車のナンバープレートにぼかしが入るようになっている。ぼかしは画像認識技術で自動的に施されているため、看板に写った人物や仏像にも入るケースがある。また、自宅の所有者が削除依頼を申請すれば建物全体にぼかしが入れられる。
公開した各国で「住宅地も写るためプライバシーを侵害している」という批判の声が多く上がり、アメリカ・ペンシルベニア州では住民がストリートビューで自宅内部を勝手に公開されたとしてGoogleを訴える事態も起こった。これに対しGoogleは裁判の中で「現代では完全なプライバシーなど存在しない」と反論を述べている。また、レドモンドのマイクロソフト・ラボ内で長時間撮影を続けて企業スパイと勘違いされたこともある。
日本においては都市計画法の条例の一つである第一種低層住居専用地域や第一種中高層住居専用地域にて、住民トラブルが起こっている。
ただし、肖像権については自動認識プログラムでぼかしを入れ修整することで解決する、とGoogle側はコメントしているものの、いまだ顔やナンバープレートの表示されている箇所などが報告されている。日本では家々の表札や店舗の電話番号が多く写っているほか、「関係者以外立入禁止」と明記されている道路や、女子校の敷地内にある道路など公道以外で撮影を行っていること、さらには横浜市の条例に違反する行為や自動車通行止めなど通行規制を無視して進入した事例も報告されている。東京都杉並区は2008年8月12日と11月7日にGoogleに対し「プライバシーへの配慮と削除要請への適切な対応」を申し入れており、東京都町田市、大阪府茨木市、北海道札幌市をはじめ全国の地方議会から何らかの規制検討や、撮影の事前告知を求めるといった内容の意見書提出も相次いでいる。福岡県弁護士会は2008年12月2日に「ストリートビューサービスの中止を求める声明」を出した。2009年2月3日に東京都の個人情報保護審議会にGoogle日本法人も出席し、「プライバシーについて詰めが甘かった」と釈明。今後は画像の公開前に該当地方自治体に知らせる意向を示すとともに、日本国外では公開前に官庁や自治体には事前説明していながら、日本では事前説明をしていなかったことも明かした。住宅街の撮影にも想像力が足りなかったとし、社内で議論を進めていると述べた。
この問題を受けGoogle日本法人は2009年5月13日に、これまで路上高さ2.45 mで撮影をしていたが、今後は40 cm低くし、塀の中が見えないとされる路上高さ2.05 mに変更して撮影し、今までに公開した画像は2.05 mで撮り直し順次置き換えてゆくと発表した。同時に数字などが判別できた車のナンバープレート画像にぼかし処理を施したり電話窓口も設ける対策も打ち出した。しかし、40 cm低くすると決定したにもかかわらず、2.45 mで撮影済みの未公開画像を公開するという、ちぐはぐな対応も指摘されている。これに関して総務省は、ぼかしがあればプライバシーや肖像権を侵さないとの見解を表明した。
日本以外でも、プライバシー権の活動家たちが、このサービスに反対している。この中では、ストリップクラブから出てきた男性、中絶クリニック前の反対運動家、ビキニで日光浴をする女性、公園のホームレス、子供を殴る親、公道から見えてしまう私有地内での生活風景など、写されている本人が世界に公開されたくない画像も大量に含まれていることも批判されている。また子どもを持つ親は、ストリートビューで安全が損なわれることを懸念している。Googleはこれに対しても、ストリートビューは公共空間から撮影されたものであると主張し、写っているものは全て公道から誰でも見ることのできるものとしている。サービス開始前にGoogleはドメスティックバイオレンスからのシェルター(保護機関)など公開されると困る施設を画像から除去し、サービス公開後は不適切な情景や人によっては敏感な問題のある情景を利用者がGoogleに通報して除去を行うよう要請できる措置を講じている。当初この手続きは、自分の写っている画像の除去のため、自分の身分証明書の写真提示を求められるなど煩雑であったが、後に簡素化された。しかし写っている本人が見れば問題になりそうな日光浴やアダルトショップを出入りする人の画像はなお残っている。
顔にぼかしを入れる機能は完全ではなく、2007年にGoogleはオーストラリアで人の顔や車のナンバープレートが分からないようにすると宣言したが、2008年8月のサービス開始時には顔もナンバープレートも未修整のものが多く残されていた。またGoogleは、連邦政府施設の集中するボルチモア=ワシントンD.C.大都市圏でのストリートビューサービスを、アメリカ国土安全保障省から治安上敏感な建物も多いという要請も受け、リリースを遅らせた。国防総省からも米軍施設の画像を除去するよう要請を受け応じている。ミネソタ州セントポール郊外にあるノース・オーク市 (North Oaks, Minnesota) は、かつて市全体がゲーテッドコミュニティであり、部外者の進入を認めるようになった今も全域が住宅購入者の私有地であることから、Googleに対しストリートビューの削除を要請し、Googleはこれに従った。2009年11月にはスイスの連邦データ保護・情報コミッショナー (FDPIC) が、ストリートビューでの顔やナンバープレートのぼかしが不十分であることから改善勧告を行ってきたが受け入れられていないとしてGoogleを訴えることを明らかにした。
2009年、イギリスでストリートビューサービスが開始されたが、運用開始から24時間以内に数十枚の画像が削除要求を受けた。2009年3月3日、『タイムズ』紙は、バッキンガムシャーのブロートン村 (Broughton) にて、怒る住民にストリートビューカーが取り囲まれ、撮影を断念する事態があったことを報じた。
2010年5月には、Googleがストリートビューの情報収集中に、Wi-Fiのアクセスポイント情報だけでなく、暗号化されていない通信内容まで収集し記録していたことがドイツで明らかになり、各国で物議を醸し司法関係者から調査に入ることを示唆された。ドイツはこれに対し20万軒以上の住居の画像を掲載しないように要求を出した。日本でも2011年11月11日に総務省が再発防止を指導した。
2010年9月、チェコでは、プライバシー問題からGoogleは新しく画像を撮影することを禁止されたと報じられた。だが、これまでに撮影された画像の規制は行われなかった。2010年10月には、オーストラリアでの数か月に渡る当局からの捜査の末、ストリートビューはオーストラリアでの調査を終了した。
CNNのテレビ番組のインタビューで、GoogleのCEOエリック・シュミットが、ストリートビューのプライバシー問題に関して「ストリートビューに自宅が写っているのが嫌なら、引っ越せばいい」と発言。後日CNNはインタビューからこの部分を削除した。発言を削除したことについてCNNはGoogleからの要請ではなく自主的に削除したとしている。