アヴァール人 (カフカース)

アヴァール人 (Ma'arulalとも)
Avars
(Аварал)

アヴァール人の民族旗
イマーム・シャミールの息子、アヴァール人の戦士ガジ・ムハンマド。
総人口
c. 140万
居住地域
ロシアの旗 ロシア 912,000
アゼルバイジャンの旗 アゼルバイジャン49,800
ウクライナの旗 ウクライナ1,496
カザフスタンの旗 カザフスタン1,206 (2009)
ジョージア (国)の旗 ジョージア1,060
言語
アヴァール語
宗教
イスラム教スンニ派
関連する民族
北東コーカサス系民族
お祝い用の服を着たダゲスタンの女性(1939年の絵画)
ドの国旗

アヴァール人(Avars)はカフカース山脈に住む民族である。北東カフカス語族の言語アヴァール語を話す。宗教はスンニ派イスラム教。大部分はロシア連邦ダゲスタン共和国の山間部に、一部は平野部に住んでいる。またチェチェン共和国カルムィク共和国などロシア連邦内のほか、アゼルバイジャングルジアトルコにも住む。人口(2002年)は約104万人、うちロシア連邦に81万5千人、ダゲスタンに75万人以上が住んでいる。

名称

「アヴァール人」(Avars)は、6世紀に中央アジアから東ヨーロッパに侵入した遊牧民族のアヴァール人と同じ名前であるが、これら二つの民族の関係はわかっていない。「アヴァール人」についての最初の記録は、東ローマ帝国プリスクスが463年に書いたもので、東方の民族がアヴァール人の侵入を訴えたというものであるが、これもカフカースの民族かどうかわからない。東ヨーロッパに来たアヴァール人はテュルク系またはモンゴル系といわれるので、現代カフカースのアヴァール人とは民族系統が異なる。

なおアヴァール人が中央アジアから東ヨーロッパに入った頃、突厥が東ヨーロッパのそれを「偽アヴァール」、中央アジアに残ったそれを「真アヴァール」と呼んで区別しているが、これと関係あるかもしれない。

歴史

5世紀カフカースに建国されたキリスト教の国サリル英語版5世紀-12世紀)が現代アヴァール人の先祖によるものと伝えられる(サーサーン朝ペルシアにより創設されたともいう)。7世紀のハザールイスラム帝国との戦いではハザール側についたが、9世紀にはグルジアなど近隣のキリスト教国と結びハザールと争った。現在でも10世紀の教会遺跡が残っている。

12世紀初頭にサリルは滅び、13世紀にはイスラームを奉ずるアヴァール・ハン国が成立し、北に成立したジョチ・ウルスと同盟して栄えた。

19世紀までアヴァール・ハン国は続いたが、ロシア帝国南下政策に基づくコーカサス戦争では、反発したアヴァール人や北カフカースの人々はロシアに対して抵抗を開始した。イスラム神秘主義ナクシュバンディー教団は、イマーム国英語版を組織し、シャミールらを中心としてダゲスタンチェチェンを占領したが、1859年にはロシア帝国に投降した。アヴァール人の一部はトルコへ逃れ、人口は減ったが、その後もダゲスタンの主要民族であり続けた。第二次大戦後は山間部からカスピ海沿岸に移住する人が多くなった。

アヴァール人のサブグループ

以下の民族はアヴァール人の一派とされることがある。

著名なアヴァール人

関連項目

脚注

  1. ^ Russian Census 2010: Population by ethnicity”. 2012年4月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年4月16日閲覧。 Russian population only.
  2. ^ a b ВПН-2010”. www.perepis-2010.ru. 2012年8月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年5月17日閲覧。
  3. ^ Ethnic composition of Azerbaijan 2009”. pop-stat.mashke.org. 2021年6月21日閲覧。
  4. ^ State statistics committee of Ukraine – National composition of population, 2001 census (Ukrainian)
  5. ^ Агентство Республики Казахстан по статистике. Перепись 2009. Archived 2012-05-01 at the Wayback Machine. (Национальный состав населения Archived 2011-05-11 at the Wayback Machine.
  6. ^ http://pop-stat.mashke.org/georgia-ethnic-loc2014.htm
  7. ^ Avars - Encyclopedia.com”. www.encyclopedia.com. 2021年6月21日閲覧。